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お茶を楽しむ

湯のみで変わる、おいしいお茶生活

●湯のみはお茶の魅力を直接伝える器

 ゆらゆら上がる湯気、手に伝わる温度、お茶の色、口から鼻までを満たす香り、そして唇に寄せた湯のみから流れ込むお茶の味。湯のみはお茶を飲む人が直接使う茶器で、お茶の魅力を、五感を通して伝えてくれます。
 湯のみは、大きさ、形、素材なども多様で、茶道具専門店のほか、陶磁器店、雑貨店などにも置かれています。見るだけでも楽しく、コレクションしている人もおいででしょう。購入する際、使い勝手をみるには、次のような基本ポイントもチェックしてみましょう。

  • 手になじみ、持ちやすい大きさや形かどうか
  • 置いた時に安定感があるか
  • 口当たりがよさそうか、飲みやすい厚さや角度か

伝統的なやきものから、雑貨屋さんのモダンなものまで、私たちの周りにはいろいろな湯のみがあるわ!

●湯のみのTPO

 いろいろな種類の湯のみは、お茶をいただく場所、一緒に飲む人々、お茶の種類に応じた使い分けをお勧めします。お茶をますますおいしく感じ、お茶の時間も一層楽しめるようになりますよ。煎茶に使われる湯のみの種類や特徴を、素材、大きさ、色などから見てみましょう。

○湯のみの素材
煎茶に使われる湯のみは磁器や陶器が中心で、ガラスが使われることもあります。

磁器の湯のみ

磁器の湯のみ
 薄手で、手に持つと軽く、なめらかな肌触りです。内側の色は白や白に近い淡いものがほとんどで、上品でやさしい印象を受けますね。
 薄い湯のみは温度が伝わりやすい性質があります。湯冷ましをして淹れるタイプのお茶なら、その温かさがじんわり伝わります。熱いお茶では、湯のみの外側も同じように熱くなり、持てなくなることもありますから避けた方が無難です。内側の白い色は、お茶の色を美しく見せます。特に、磁器の白い肌は透明感があるので玉露、上級煎茶の繊細な色合いを堪能するのに向いています。

陶器の湯のみ

・陶器の湯のみ
 磁器に比べて厚みのあるつくりをしています。表面は、土のざらっとした感触や自然な色合いを残したものもあれば、釉薬でなめらかに覆われ、彩色を施したものもあります。陶器の湯のみは温かみや和み、力強さや素朴さを感じます。厚い分だけ外への温度の伝わり方が緩やかになり、また中の温度も保たれやすくなります。熱々のお茶を飲むのにピッタリです。

ガラスの湯のみ

・ガラスの湯のみ
 最近はガラスでつくられた湯のみ、カップを使う方も増えてきました。透明な器は、中まで明るく光を通し、あらゆる角度で中の様子を見ることができるのが最大の特徴です。夏の水出し煎茶、冷茶には、氷を浮かべると冷涼感も一段とアップします。温かいお茶には耐熱ガラス製を使いましょう。取っ手がついていると、熱さを気にせずに持つことができます。


○湯のみの大きさ
 湯のみは片手で持てる大きさですが、それでも大小さまざまです。
 お猪口のような小さな湯のみ、豆茶碗と呼ばれる湯のみは、玉露や上級煎茶などに向いています。これらのお茶は、じっくり味わい、凝縮された濃厚な旨味を楽しむので、淹れる量は多くありません。
 150cc程度が入る、中程度の大きさの湯のみは、普段いただく煎茶に良いでしょう。
 手のひらでがっしり掴むような大ぶりの湯飲みは、ゴクゴクとお茶を飲みたいとき、番茶、ほうじ茶などをたっぷりいただこうというときに良いですね。


○湯のみの形
 筒のような形、お椀型、口が開いているもの、ふたや取っ手がついているものなど、湯のみの形も様々です。
 お椀型や口が開いている湯のみは水色を見やすいので、目でもお茶を楽しみたいときに良いですね。
 ふたがついている湯のみは、改まった席でお客様にお茶をお出しするのに使われます。硬い印象がありますが、自分で日常に使いたくなるような柔らかいデザインのものもあります。ふたは、お茶を冷めにくくしたり、ほこりを防いだりもしてくれるという発想から、湯のみやマグカップ用のおしゃれなふたを買い求め、オフィスで使う方もいます。
 また、マグカップのような取っ手に、茶漉しと蓋がついている湯のみも見かけます。急須を使わずにお茶を淹れ、ふたを蓋としても、茶漉し置きとしても使えるように工夫されています。
 湯のみは、ふとしたことでストンと落としてしまうこともあると思います。外側に水平に凹凸がある湯のみは、指がくぼみになじんで持ちやすく、滑りにくいです。また、取っ手が付いたマグカップも、握力が弱い方や子どもがお茶を飲むのに便利です。


○湯のみの色
 多くの湯のみは、内側が白か、白に近いやさしい色合いです。これは、お茶の水色をきれいに見せるため。意識して見比べると、同じ白っぽい色も微妙に色合いが異なります。
 同じお茶でも、湯のみによってその見え方が変わってきますよ。

白を中心としたさまざまな湯のみ白を中心としたさまざまな湯のみにお茶を注いでみると、同じお茶でも中の水色は湯のみによって微妙に違って見えます。


●湯のみのお手入れ

○われものに注意
 陶磁器やガラスの湯のみは、素材の性質上、欠けやひび割れが生じることがあります。肌に直接触れる茶器なので、安全性の観点からも、落としたり、他のものとぶつけたりしないよう、ていねいな扱いを普段から心がけたいものです。
 欠けた場合、かつては食器用の接着剤、高価なものは金などで接いでいました。思い入れのある湯のみは、手を入れて、大切に使い続けるのもよいですね。

○湯のみを洗うときは
 お茶を飲んだ後の湯のみは、水かお湯のこすり洗いで十分です。茶渋が気になる場合はアクリルたわしや茶渋用のスポンジ(メラミンスポンジ)を使うと良いでしょう。頑固な茶渋や、口紅や食事の油がべったりついているときは、重曹を布などにつけてやさしくこすります。ただし、アルミ、木、傷つきやすい素材や塗装は、変色や表面に傷がつく場合があるので重曹は使いません。
 漂白剤を使うなら、酸素系漂白剤がおすすめです。塩素系漂白剤のような刺激臭はありません。漂白剤を溶かしたお湯に一晩つけおきしますが、金属が変色する場合があるので、金彩等を施した湯のみは避けた方が無難です。
 湯のみも急須と同じように、使ううちにお茶の成分が染みて、独自の風合いを醸し出すものがあります。洗剤や漂白剤で素材の持ち味を台無しにしないよう気を付けましょう。

○湯のみを仕舞うときは
 湯のみを仕舞う前には、洗ってきれいにした後、熱めのお湯に浸します。
水切りカゴに上げて、湯のみが熱いうちに布巾で水滴をふき、上向きに置いて余熱で十分に乾かします。

湯のみをていねいに扱えば長持ちするし、所作もきれいに見えるわよ!

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