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お茶と健康

こんな時にお茶をどうぞ
~機能性に注目したお茶活用術~

●世界が注目する緑茶の魅力を活用しましょう

 ここ数年、日本から欧米への緑茶の輸出が盛んになっています。日本食人気の高まりも背景にあるのでしょうが、よく言われるのが「緑茶はヘルシーだから好き」なのだそうです。砂糖などを加えずに楽しめる味わい、加えて、緑茶に含まれる成分の機能性に関心が寄せられています。
 緑茶に慣れ親しんだ日本ですが、その機能も知ると、毎日のお茶がさらに魅力的に見えてくるかもしれません。

○朝の目覚めに
 お茶にはカフェインが含まれており、中枢神経に働きかけて目覚めを手助けしてくれます。また、温かいお茶は体内を温めて体を動きやすくし、お茶のさわやかな香りは鼻から脳への心地よい刺激となります。
 「朝茶は七里帰っても飲め」など、朝にお茶を飲むよう勧めることわざ、言い伝えはいくつもあります。覚醒機能を持つカフェインを指したものかは定かではありませんが、朝お茶を飲むと体に良いというのが、昔から実感としてあったのですね。

○食事のお供に
 食前のお茶は、食前酒を飲んだ時のようにおなかが暖かくなり、食欲が湧くような感じがします。食事中のお茶は、口の中をその都度きれいにして、いろいろな料理の味わいを楽しむのに役立ちます。食後のお茶は、食べかすや油を流して、口の中をさっぱりとしてくれます。
 食事時の何気ないこんな感覚も、科学的に解明されてきています。お茶に含まれるカフェイン、カテキン、フラボノイド類、多糖類、フッ素など、複数の成分が、胃腸の働きを助けたり食事による体内の変化を適切に調整したりする働きを持っています。カフェインは胃液の分泌を促し、多糖類は血糖値の急激な上昇を抑えます。カテキンは食中毒を予防し、またクロロフィルなどとともに口臭を予防します。フッ素は歯を強く、虫歯になりにくくします。

○スポーツ、力仕事に
 スポーツ時の水分補給に、どんな飲み物をお好みですか。ミネラルウォーター、スポーツ飲料などにはそれぞれの持ち味がありますが、お茶もスポーツの時にお勧めの飲み物です。
 お茶に含まれるカフェインは興奮作用があり、中枢神経を刺激して筋肉がよく働くよう促します。また、カフェインとカテキンは、体内の脂質を分解・燃焼しやすくする働きを持っています。この性質を使い、カテキンを含んだ茶飲料で特定保健用食品の認定を取っている商品もあります。

アメリカやヨーロッパでは、緑茶=健康飲料のイメージがあるのね。成分機能を知って、上手に活用したいわ。

●緑茶成分に注目した使い分け ~お茶の適材適所~

 お茶に含まれる一般的な成分と作用は先ほどの通り。でも、煎茶とほうじ茶では香りや味わいが変わるように、お茶の種類が異なれば成分も多少変わります。また、淹れ方や使い方によって成分を調整できるのも、お茶の奥深いところ。
 そこで、緑茶の成分に着目し、生活シーンに合わせたお茶の使い分けをご紹介します。美容や健康を気遣う方には必見の、ワンランク上のお茶パワー活用術です。

朝の目覚めに…玉露、抹茶、煎茶

これらのお茶には、他の緑茶に比べて多めのカフェインが含まれています。カフェインと言うとコーヒーを思い出す方も多いのですが、玉露、抹茶、煎茶にはリラックス効果をもつテアニンが同時に含まれている点に特徴があります。カフェインとテアニンがともに作用し、さわやかな目覚めを応援します。

酔い覚まし、二日酔いに…濃いめに入れた煎茶

二日酔い気味のときには、熱いお湯でカフェインをしっかり抽出した煎茶がおすすめです。カフェインの覚醒作用は脳の酔いを覚まします。ナイアシンがアセトアルデヒドの分解を、ビタミンCがアセトアルデヒドから酢酸への分解を助けます。また、カフェイン、サポニン、カリウムには利尿作用があり、アセトアルデヒドなどの排出を促します。

食後に…番茶

食後の口の中のべたつきや食べかすは、カテキン豊富な番茶ですっきり流すことができます。可能なら、番茶を口に含んで上あごや舌の裏、奥歯までお茶をいきわたらせるようにすすぎます。カテキンの殺菌効果や消臭効果がいきわたり、すぐに歯磨きができない時でも、口の中の雑菌の繁殖や口臭を抑えるのに役に立ちます。

大事な仕事・勉強に…上級煎茶

煎茶の中でも、上級の方が一般にカフェインがより多く含まれ、奥行きのある良い香りがします。これらが脳の活動を活発化させ、集中力を高めますので、仕事や勉強をはかどらせたいときにうってつけです。会議の飲み物にも、リーフから淹れた温かいお茶がお勧めです。

難しい仕事の後の気分転換に…玉露、抹茶

テアニンは、脳のアルファ波の出現を促進し、リラックス効果があります。テアニンたっぷりの玉露や抹茶と甘味を合わせ、緊張をほぐすとともに脳に栄養補給しましょう。

夜のリラックスタイムに…番茶、ほうじ茶

カフェインの少ない番茶やほうじ茶なら、目が覚めて眠れない・・という心配もあまりありません。お風呂上がりの水分補給にも向いています。

風邪予防に…煎茶、番茶、紅茶

カテキン類の殺菌作用は、風邪やインフルエンザのウイルスにも抵抗する力を持っています。煎茶に含まれるカテキンは、新茶よりも、夏から秋に摘んだ二番茶や三番茶でつくる番茶に多く含まれています。紅茶に含まれるテアフラビンという成分は、インフルエンザウイルスに特に強い抵抗力を持っています。飲むだけでなく、お茶でうがいをするのもお勧めです。

冷えが気になるときに…ほうじ茶

「ほうじ茶を飲むとポカポカする」と感じる方がいます。これは、ほうじ茶に含まれる「ピラジン」が作用しているのかもしれません。茶葉を一定の温度以上で焙じると芳ばしい匂いがたってきますが、このにおいの元がピラジンという成分です。ピラジンは血行を促進する血液サラサラ成分として注目されています。ほうじ茶に限らず、「火入れ」が強く、芳ばしい匂いのする煎茶にも含まれています。秋口から冬にかけて、冷えが気になるときは、ほうじ茶を試してみてください。

子どもやお年寄りに…ほうじ茶、番茶

カテキンやカフェインが少なめで、苦渋味が抑えられ、刺激も少ないやさしいお茶。苦味、渋味が苦手な子ども、カフェイン、カテキンなどの刺激に敏感なお年寄りも、安心して飲むことができます。

アレルギーに…べにふうきの緑茶

カテキンには抗アレルギー作用がありますが、「べにふうき」という品種には、花粉症のアレルギー症状に特に有効な「メチル化カテキン」という特別のカテキンが含まれています。べにふうきはもともと紅茶用の品種ですが、紅茶に製造すると消えてしまうメチル化カテキンが、緑茶の製造方法なら葉に残ることが研究で明らかになりました。べにふうき緑茶の製造方法、淹れ方、摂取量、また人により、飲んだ後の症状の変化、感覚には差異があります。

お茶の特徴を知って、体調や場面に合わせてお茶を選べたらちょっとカッコイイし、体にもいいし、一石二鳥だわ!