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お茶と健康

まだまだあるお茶の魅力的な成分

●ビタミン類 ~茶葉に多いビタミンは、ACEの抗酸化トリオ~

玉露や上級煎茶などの柔らかい茶ガラは丸ごと食べることができ、飲むだけより多くのビタミンを摂ることができます

 ビタミンは体に必要な5大栄養素の一つです。体内では、たんぱく質などの栄養素がエネルギーに変わったり、骨やコラーゲンなどを作ったりするときに酵素が作用します。ビタミン類は、酵素を適切に機能させる働きを持ちます。ビタミンが不足すると摂取した栄養素を生かすことができず、体の不調や深刻な疾患を生じることがあります。一部のビタミンは、過剰摂取によって体調不良をおこすことがあります。
 身体に必要なビタミンは微量ですが、基本的に体内で生成されないため、適切な摂取を続ける必要があります。
 茶葉に含まれる代表的なビタミンは、ビタミンエースとも呼ばれるA、C、E。これらはいずれも抗酸化作用があり、一緒に摂ることでそのパワーはさらに強化されます。ただし、ビタミンAとEは脂溶性で水に溶けにくい性質を持ちます。抹茶、粉末茶を飲んだり、茶葉を利用した料理でお茶を丸ごといただいたりすれば、より多くの栄養素を摂ることが可能です。
 緑茶の中では、玉露、抹茶、煎茶の茶葉に、特にたくさんのビタミン類が含まれています。ビタミンB2、B6、ナイアシン、葉酸は緑茶、ウーロン茶、紅茶に共通して含まれ、ビタミンCは緑茶にだけ含まれます。

●ビタミンの種類と特徴

・脂溶性ビタミン

名称 特徴、摂取指標 多い主な食品(可食部100gあたり)の含有量
ビタミンA 抗酸化ビタミンの一つ。視覚の正常化、成長及び生殖作用、感染予防等の生理作用がある。植物性食品に含まれるカロテンは、体内でビタミンAのレチノールに変換される。
推奨量(18歳以上)男性800~850μgRE/日、女性650~700μgRE/日(RE:レチノール当量)
あまのり:3,600μgRE
しその葉:880μgRE
乾燥わかめ:650μgRE
煎茶茶葉:1,100μgRE
ビタミンD カルシウムの吸収や骨の石灰化などを助ける働きがある。皮膚内で生成されるが、日にあまり当たらない場合は食べ物からの摂取が必要。
目安量(18歳以上)男性5.5μg/日、女性5.5μg/日
あんこうの肝:110μg
さけ:32.0μg
きくらげ:39.4μg
卵黄:5.9μg
ビタミンE 抗酸化ビタミンの一つで、細胞を覆う不飽和脂肪酸の膜や悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防ぐ。自律神経に働きかけ、血行の改善が期待される。
目安量(18歳以上)男性7.0μg/日、女性6.5μg/日
ひまわり油:38.7mg
アーモンド:31.0mg
小麦胚芽:28.3mg
煎茶茶葉:64.9mg
ビタミンK 骨を丈夫にする、血液凝固を促すなどの作用がある。
新生児は母乳等からの摂取が必要だが、腸内細菌の発達に連れ、体内で合成されるようになる。
推奨量(18歳以上)男性75μg/日、女性60~65μg/日
干しのり:2,600μg
パセリ:850μg
納豆:600μg
煎茶茶葉:1,400μg

・水溶性ビタミン

名称 特徴、摂取指標 多い主な食品(可食部100gあたり)の含有量
ビタミンB1 糖質などの代謝を促し、エネルギーに変える。乳酸など疲労物質もエネルギーに転換し、疲労回復を早める。欠乏すると、脚気、倦怠感、食欲不振などが引き起こされる。
推奨量(18歳以上)男性1.2~1.4mg/日、女性0.9~1.1mg/日
小麦胚芽:1.82mg
豚ヒレ肉:0.98mg
煎茶茶葉:0.36mg
煎茶浸出液:0mg
ビタミンB2 ほとんどの栄養素の代謝にかかわり、エネルギーを生成する。脂質代謝を促し、過酸化脂質を分解する酵素を助ける。欠乏により、口内炎、眼球炎、脂漏性皮膚炎(ニキビ)、成長障害等が起こることが知られている。
推奨量(18歳以上)男性1.3~1.6mg/日、女性1.0~1.2mg/日
豚レバー:3.60mg
干しのり:2.68mg
煎茶茶葉:1.43mg
煎茶浸出液:0.05mg
ナイアシン 生体中に最も多く存在するビタミンで、500種以上の酵素に作用する。炭水化物や唐の代謝を助け、血行改善や粘膜強化にかかわる。欠乏すると皮膚炎、下痢、成長障害等が起こることが知られている。
目安量(18歳以上)男性13~15mgNE/日、女性10~12mgNE/日(NE:ナイアシン当量)
かつお:19.0mgNE
まいたけ:9.1mgNE
煎茶茶葉:4.1mgNE
煎茶浸出液:0.2mgNE
ビタミンB6 アミノ酸や脂質の代謝、神経伝達物質の生成等にかかわる。欠乏すると、皮膚炎、動脈硬化性血管障害、食欲不振等が起こることが知られている。
推奨量(18歳以上)男性1.4mg/日、女性1.1mg/日
ミナミマグロ赤身:1.08mg
にんにく:1.68mg
煎茶茶葉:0.46mg
煎茶浸出液:0.01mg
ビタミンB12 アミノ酸、奇数鎖脂肪酸、核酸等の代謝に関与する酵素の補酵素として重要。欠乏により、悪性貧血、神経障害等が起こることが知られている。
推奨量(18歳以上)男性2.4μg/日、女性2.4μg/日
しじみ:62.4μg
牛乳:0.3μg
煎茶茶葉:(推定0)
煎茶浸出液:(推定0)
葉酸 葉酸は、核酸の成分の生成にかかわる。核酸はDNAを構成しており、細胞の分裂・増殖・成熟には欠かせないもの。細胞分裂が盛んな胎児、妊婦には、葉酸は特に重要な栄養成分。摂取が足りないと、巨赤芽球性貧血、粘膜の炎症が起こりやすくなる。
推奨量(18歳以上)男性240μg/日、女性240μg/日
鶏レバー:1,300μg
枝豆:320μg
煎茶茶葉:1,300μg
緑茶浸出液:16μg
パントテン酸 脂肪や炭水化物のエネルギー代謝にかかわる補酵素の構成成分。HDLの生成やビタミンCを助け、葉酸やビタミンB6とともに免疫のためのたんぱく質を作る働きもする。
目安量(18歳以上)男性5~6mg/日、女性5mg/日
鶏レバー:10.1mg
卵黄:4.33mg
煎茶茶葉:3.1mg
煎茶浸出液:0.04mg
ビタミンC 抗酸化ビタミンの一つ。皮膚、骨、粘膜を作ったり、細胞と細胞をつないだりするコラーゲンの生成と保持を助ける。
推奨量(18歳以上)男性100mg/日、女性100mg/日
赤ピーマン:170mg
レモン:100mg
煎茶茶葉:260mg
煎茶浸出液:6mg

●お茶の種類とビタミン類の含有量(可食部100gあたり)

抗酸化トリオのビタミンACEも、女性にうれしい葉酸も、お茶に含まれているのね。

●ピラジン ~ほうじ茶を飲んで体ポカポカ~

ピラジンを多く含むほうじ茶

 秋から冬にかけて、ほうじ茶の人気が高まります。また、ほうじ茶を飲むとポカポカしてくるという方もいますが、これらには訳があるのです。
 ほうじ茶は、番茶や茎茶など、いったん緑茶としてつくられた茶葉をさらに火にかけて、香ばしく炒って作ります。この炒るときの熱で、茶葉には「ピラジン」という成分が増加します。
 ピラジンは、ほうじ茶独特のこうばしい香りの成分です。また、血流を促したり血栓ができるのを防いだりする生理作用を持つので、手足の冷えや肩こりの改善などが期待される成分です。ほうじ茶を飲んで体がポカポカするのを感じたのは、お茶の温度だけでなく、ピラジンによって体内の血流が促されたことによるのかもしれませんね。

血行を良くするピラジンは、冷えやすい女性の味方ね。