世界各地の茶産地
●世界のお茶産地
~アジアはもちろん、アフリカやアメリカ大陸にもお茶産地~
現在の世界の茶園面積はおよそ300万ha、生産量は約390万tで、どちらも増加傾向にあります。 日本でお茶と聞くと緑茶をイメージすることが多いと思いますが、世界全体を見ると、紅茶の生産量が圧倒的に多いのです。ところが最近、そんな定説に変化の兆しが見えています。最近の統計を見ると、緑茶の生産量が増え、お茶の生産量全体に占める緑茶の割合も高くなりつつあります。1985年には18.8%だった緑茶の割合は、2009年には31.4%になっています。 国別にみると、世界一のお茶産地は中国で、世界の茶園面積の6割、生産量の3割を占めています。また、インドやスリランカも生産量が多く、品質の高い紅茶で知られています。こうしたアジアの伝統的な産地に加え、現在ではアフリカの新興産地が目立ってきています。
■世界の茶の生産量の推移
社団法人日本茶業中央会「平成23年版 茶関係資料」および静岡県茶業会議所「新茶業全書」より作成
■国別に見た茶の生産量
社団法人日本茶業中央会「平成23年版 茶関係資料」および静岡県茶業会議所「新茶業全書」より作成
お茶の生産量は増加傾向。
日本よりずっと暑くて雨の多そうな地域、標高の高いところでもお茶が作られているのね。
●世界の主なお茶産地
※下記地図の国旗にマウスを当てると、吹き出しで説明が見られます。
■東アジア
お茶の発祥の地・中国を中心に長い歴史を持ち、産業としても文化としても発達した地域です。緑茶、ウーロン茶、紅茶とも生産されていますが、緑茶の生産が特に多くなっています。韓国は年間4千tを生産しています。
■東南アジア、オセアニア
茶の原産地・中国に隣接する地域で、喫茶習慣は古くから伝えられていたと言われます。19世紀以降、植民地時代に産地化されますが、第二次世界大戦や内戦で生産が激減しました。ベトナム、インドネシアのほか、ミャンマー、マレーシア、インドネシアに隣接するパプアニューギニア、オーストラリアでも生産されています。
■南アジア、オセアニア
イギリス統治時代にインドで紅茶の生産が始まり、現在も世界一の生産量を誇る地域です。インドの茶の種や生産技術は、紅茶生産を試みる世界各地にもたらされました。インド、スリランカ、バングラデシュ、ネパールで生産されています。
■西アジア、CIS諸国
ロシアのお茶需要の高まりから、20世紀直前に現在のグルジアで生産が始まり、周辺地域に広まりました。黒海とカスピ海に隣接するトルコ、イラン、グルジア、アゼルバイジャン、そしてロシアが主な生産地です。
■アフリカ
インド、セイロンに次ぐ新たな紅茶産地を求めて、植民地だったアフリカを西欧諸国が開発したのが始まりです。産地はアフリカの東部、中部、南部のなかの、標高の高い地域が中心となっています。生産を始めて約1世紀の若い産地は生産量と輸出量の伸びが著しく、注目度の高い地域です。
■南アメリカ
ヨーロッパや日本からの移民によって栽培がはじめられました。主な産地はアルゼンチン、ブラジル、ペルー、エクアドルです。南米で好まれるマテ茶はモチノキ科の植物なので、ここでいう茶には含まれません。
統計データは社団法人日本茶業中央会「平成23年版 茶関係資料」による