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茶期によるお茶の区分
~お茶の生産時期による特徴

お茶の成長サイクルと摘採時期

 チャの木はツバキ科の常緑樹。その枝には、一年を通して緑色の葉を見ることができます。春には萌黄色の柔らかい新芽が顔を出し、日差しを浴びてだんだんに力強い枝葉に育ちます。夏の間も枝が伸び、葉が茂り、茶樹は一回り大きくなり、密度も増します。秋に花が咲くころは目立った成長は止まり、養分を溜め込みながら、静かに春を待ちます。
 私たちが飲むお茶は主に、チャの木の新芽、新しく伸びた部分を使います。成長に合わせ、一年の中に何回かお茶を摘む期間があることから、茶期(茶の生産時期)ごとに一番茶、二番茶などと呼んで区別しています。

生産時期によるお茶の呼び方

名 称 定 義
新茶 当年の春に初めて生産された茶。
古茶 当年以前に生産された茶。
春番茶、一番茶、二番茶、三番茶、四番茶、秋番茶 茶が生産された市町村の慣行による生産時期区分による。

社団法人日本茶業中央会「緑茶の表示基準」

前年までの枝と葉の間に育つ新しい芽

 新茶と一番茶は、その年の最初に伸びた新芽でつくられたお茶です。新茶の生産時期は、日本でいちばん早い産地、種子島では3月下旬から4月上旬、その後、鹿児島で4月上旬から5月上旬、静岡では4月中旬から5月下旬と続きます。
 一番茶を摘んだ後、チャの木には次の新芽が伸びてきます。次の二番茶は一番茶摘採のおよそ45~50日後、二番茶の次の三番茶はさらに35~40日後が摘採の目安とされています。
 秋番茶、秋冬番はその年の最後の生産時期で、静岡では9月から10月にかけて行われます。
 産地の環境、作るお茶の種類などにより、一番茶のみ作る場合、二番茶まで生産する場合、秋番茶まで生産する場合などがあります。

茶期別にみたお茶の特徴

左右に葉を広げながら
上へ芽が伸びる

 同じチャの木から採れる葉も、茶期によって色や形、含まれる成分や味わいが変わります。
 新茶・一番茶は、旨味と生産者の思いが詰まった特別なお茶。前の年から生産計画を立て、枝の剪定や土づくりをして育てます。春先、気温の上昇を受けて萌芽し、芽は、1葉分伸びるのに約1週間かけてというペースで成長します。萌黄色の芽が伸びるに従い、古葉の濃い緑色が次第に覆われ、茶畑が明るい色合いに変わります。
 一番茶の新芽は特に柔らかい「みる芽」。冬の間に蓄えられた養分をたくさん吸い、夏や秋のお茶に比べて旨味成分のアミノ酸を多く含みます。旨味が多く、香り高く、形が良い、高品質のお茶になります。玉露、上級煎茶用の茶園では、木に養分を蓄えるため、二番茶以降を作らないことが一般的です。
 二番茶や三番茶は、たっぷりの日差しを浴びて元気良く育ったお茶。葉は大ぶりで茎は太く、全体に硬くしっかりしています。一番茶に比べると旨味成分のアミノ酸は少なく、渋味成分で抗酸化作用を持つカテキンが増えます。渋味をきりっと感じる、さっぱりめお茶になります。
 地域によっては、秋や冬の葉でお茶(番茶)を作ります。寒茶と呼ばれる冬の葉を使うお茶には、独特の甘みを感じるものがあります。これは、寒さに当たったチャの木が、葉の中の水分が凍るのを防ごうと糖分を溜める性質があるからです。

●番茶? 晩茶? バリエーション豊富な番茶

 「ばん茶」には「番茶」や「晩茶」の字があてられます。もともとは、遅い時期(夏、秋など)に、十分成長した葉を採って作る茶を指して「晩茶」と言っていました。伝統的には、京番茶、阿波晩茶など、産地独自の製法によって作られるお茶も番茶と呼ばれ、今も西日本を中心に各地に伝わっています。
 今日の「番茶」は広い意味で使われ、玉露や上級煎茶などに対し、廉価な下級煎茶を指します。この番茶の原料は、仕上げ一番茶や二番茶の仕上げ工程で寄り分けられた硬葉や古葉、一番茶や二番茶を摘採した後、次のお茶に備えて整枝した茶葉などです。

初物の一番茶はゆったりと、手頃な番茶はゴクゴクと、使い分けるのもいいわね。