仕上げ工程によるお茶の種類
~荒茶をフル活用したお茶たち~
●選りすぐりの「本茶」、余すところなく使われる「出物」
お茶の最初の加工工程は荒茶づくり。「仕上げ」は荒茶を原料にして、商品として磨きをかける工程で、乾燥(火入れ)、選別、合組、包装などの作業が行われます。
荒茶と仕上げ茶は、パッと見ただけでは違いがわからないのですが、仕上げ茶工程によって、乾燥の程度、茶葉の大きさや形などの揃い具合、味や色や香りなどがひときわ良くなります。
仕上げのなかの選別工程では、荒茶に含まれる茶葉を、ふるいや風選機などによって、大きさ別、部位別などに仕分けます。仕分けたものは、大きく二つの種類があり、煎茶などの主体になる「本茶」と、それ以外の「出物」です。本茶になれなかった出物も、形状や部位に応じて、茎茶、粉茶、ティーバッグ原料など、別の用途が用意されています。
また、緑茶だけでなく、ウーロン茶、紅茶も、荒茶に手を加えてそれぞれの仕上げ茶となり、出物もそれぞれに活用されています。
荒茶は捨てるところなく、余すところなく活用できるエコなものなのね。
●荒茶からつくられる仕上げ茶と二次利用品
煎茶 | 煎茶の荒茶からは、煎茶の仕上げ茶、出物を使った番茶、粉茶、茎茶、出物を再加工したほうじ茶、玄米茶などが作られている。 出物の粉の部分は、ティーバッグの中身、インスタントティーなどの飲用の二次利用、カフェインやカテキンなどの成分抽出するための原料などにも使われる。 |
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玉露 | 玉露の荒茶からは玉露の仕上げ茶と、雁が音などのお茶がつくられている。 |
碾茶 | 碾茶の荒茶は、ふるいにかけて葉肉の柔らかいところ(浮葉状の部分)だけを抹茶に使う。仕上げ工程を経た碾茶を仕立茶とも呼ぶ。 抹茶は吸湿しやすく保存が難しいので、仕立茶で冷蔵保存しておき、必要に応じて、石臼で挽いて抹茶にする。抹茶は、点てていただくだけでなく、最近は加工食品への利用も増えている。 |
■荒茶の仕分けとつくられるお茶(煎茶の場合)
本茶に入らない部分も、上手に加工して、いろいろな種類のお茶が作られているのね。