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荒茶製造からみたお茶の種類
~チャの葉の加工前半で決まるお茶の種類

荒茶は、チャの葉から茶葉への一次加工品

 チャの木から摘まれたばかりの葉は、みずみずしい生の状態。この生葉に秘められた味や香りを引き出しつつ、保存が利くように加工・包装されたのが、一般に売られているお茶です。
 生葉が店頭に並ぶ茶葉になるまでの加工工程は、大きく2つにわけることができます。一つ目は、茶畑に比較的近い茶工場で、摘んだ葉を揉んだり乾燥させたりする一次加工。この工程でつくられるのが荒茶(あらちゃ)です。二つ目が、荒茶を素材に茶葉の形を整えたり、さらに乾燥させたりして商品に磨き上げる工程。これによってできるのが仕上げ茶(再製仕上げ茶)です。
 荒茶は、仕上げ茶の基本となる大事なもの。荒茶の製造方法と茶畑での栽培方法は密接にかかわっており、それぞれの段階で、目的のお茶にあわせた作業や品質管理が行われています。

荒茶製造から見たお茶の分類

葉の発酵について

 チャの木から摘んだ葉をそのままにしておくと徐々にしおれ、葉の色が緑から茶色に、香りは青い草のような香りから花のような香りへ変わっていきます。この時、茶葉の中では、葉に含まれる酸化酵素によってカテキン類が酸化する現象が起きています。この現象を発酵(醗酵)と呼びますが、一般的な微生物による発酵とは異なります。
 発酵をさせるかどうかによって、生葉が緑茶(不発酵茶)、ウーロン茶(半発酵茶)、紅茶(完全発酵茶)のどのお茶になるかが決まります。

●緑茶の仲間について

 緑茶は、葉を発酵させないで加工したお茶です。
 生葉を摘んだらできるだけ早く、熱を加えて酵素の働きを止める(殺青・さっせい)のが特徴です。できあがった茶葉は緑色で、青い草のようなさわやかな香りが特徴です。
 熱を加える方法は、蒸気で蒸す場合(蒸し製)と、中華鍋のような釜で炒る場合(釜炒り製)とがあり、日本では蒸し製が多く作られています。釜炒り製は、中国緑茶の一般的な製法で、日本では、佐賀、宮崎、熊本などを中心に作られています。

●ウーロン茶の仲間について

 茶葉を、緑茶と紅茶の間ぐらいまで発酵させ(半発酵)、加工したお茶の総称がウーロン茶です。できあがった茶葉は青味のある緑や茶色がかった色合いで、何煎も味わいながら、華やかな香りや甘味の変化を楽しめます。
 半発酵と言っても、発酵の程度はお茶の種類によってさまざま。
ほんの少し発酵させた緑茶に近いもの、十分発酵させて紅茶に近いものもあります。発酵程度が弱いお茶を、包種茶(台湾)などと分けて呼ぶこともあります。
 ウーロン茶は中国、台湾が主な産地です。中国・台湾では緑茶、紅茶、さらに、ウーロン茶とは異なる製法のお茶も作られています。

●紅茶の仲間について

 紅茶は、茶葉を十分に発酵させてつくるお茶です。できあがった茶葉はオレンジ色や赤みの感じられる茶や黒っぽい緑色。水色は澄んだルビー色、気品ある香りと心地よい渋味が特徴です。
 発酵を促すために摘んだ茶葉を陰干ししたり(萎凋・いちょう)、揉んで細胞を壊したり(揉捻・じゅうねん)、高温多湿の場所に寝かせたり(発酵)します。これらの工程の後に熱風を当てて乾燥させ、紅茶の荒茶ができあがります。
 インド、スリランカ(セイロン)、中国、ケニアを中心に、アジア・アフリカなどで生産され、世界で生産量、消費量ともに最も多いお茶です。