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お茶と歴史

お茶どころの面白雑学 ~おいしいお茶の使い方~

●しずおかお茶百珍 ~食べて楽しむ「茶食」が人気~

 飲んでおいしいお茶は、食べてもおいしい立派な食材です。抹茶スイーツだけではない、いろいろなお料理でお茶を楽しむことができるのですよ。それに、お茶の葉を食べると、お湯に浸出しない成分も摂ることができて一石二鳥。
 お茶が身近で豊富な静岡ならではの茶葉の使い方、お茶農家に伝えられるお茶料理をご紹介しましょう。

○お茶の天ぷら
 お茶の新芽を使った料理で有名なのは天ぷらでしょう。新芽の天ぷらはお茶産地のイベントでも大人気。カリっと揚がった新芽は上品で、かすかな苦みが楽しめます。本来、お茶を作るための大事な新芽とあって、お茶産地でも食用にはほとんど流通していませんが、最近は、新茶シーズンの直売所などで摘みたての新芽を見かけるようになってきました。
 新芽でなくとも、玉露や上級煎茶などの茶ガラを、かき揚げにしていただくのもお勧めです。茶ガラの水気を絞り、衣とあえてかき揚げに。サクラエビ、ニンジンやタマネギなどと組み合わせると、色もなお良くお勧めです。お子さまには、何煎も淹れた後や、熱湯を回した後の茶葉を使うと、苦味が少なくて食べやすいでしょう。

茶ガラを使ったかき揚げ

イベントでも好評のお茶の新芽の天ぷら

○お惣菜にはお茶が隠し味
 カボチャや芋など野菜の煮物を作るとき、煮出したお茶を使います。アミノ酸豊富なお茶で、ダシの一種のように味わいを深めるのだそうです。
 また、お茶の消臭効果も兼ね、お魚料理の隠し味にお茶が使われます。魚をお茶の浸出液に浸けてから下ごしらえする、煮魚にお茶を加えるなどです。県内各地に漁港がある静岡はお魚天国。そんな静岡で「角煮」と言ったら、豚肉ではなくて、マグロやカツオの切り身を甘辛く煮たものが有名です。しょうゆ、砂糖、みりん、酒、生姜などとともに、煮汁にお茶を加えると、臭みがなく、コクのある角煮が炊き上がります。

静岡割り(緑茶割り)

○健康も気遣う大人のお茶割り
 焼酎をお茶で割ったお茶割りには、ウーロン茶を使ったものもありますが、静岡の居酒屋や料理店で「お茶割り!」とオーダーすると、圧倒的に緑茶を使った緑色のお茶割りが出てきます。急須で出したお茶で割る、お湯割りに抹茶や粉末茶を溶かす、あるいは焼酎に煎茶や粉茶の茶葉を直接入れておき、それをお水やお湯で割って飲むなど、作り方も多彩です。
 静岡の飲食店の団体では、焼酎の緑茶割りを「お茶の産地・静岡らしいお酒の飲み方」と意識して「静岡割り」と名付け、もっと親しんでもらおうという活動もしています。(地元の人は「しぞーかわり」と発音します)
 お茶には、アルコールの代謝を促してくれるカフェインやビタミンCが豊富ですが、くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。

茶食は和食だけでなくフレンチレストランの創作料理にも広がっているんだって!

●お茶の味にうるさい静岡人!?

 人気漫画「ちびまる子ちゃん」には、まる子ちゃんがお茶にこだわるトピックがあります。小学3年のまる子ちゃんは、出がらしのお茶をまずいと言い、茶葉を変えて濃いお茶に淹れなおしてくれるようお母さんにせがみます。そして、知り合いから新茶が届くのを楽しみにしています。
 昭和40年代後半の静岡県清水市(現在の静岡市清水区)に住む、小学3年の女の子の日常が描かれています。清水をはじめとする静岡県内のお茶どころなら、お茶にこだわるこんな子ども、いかにもいそうです。
 お茶に囲まれて育った子どもの中には、大人に勝る繊細な舌を持つ子もいます。お茶どころならでは、という味覚を育てる家庭や地域の風習をご紹介します。

子どものお茶教室

○お茶通を育てるしずおか流お茶育
 家庭によっては、まだ哺乳瓶を欲しがる赤ちゃんの頃から薄いお茶を飲ませます。食卓にはいつもお茶があり、夏も麦茶より冷やした緑茶が好まれます。
 給食の時間にお茶を出す学校も多くあります。島田市のある学校では、蛇口からお茶が出るように設備を作り、話題になりました。
 また、お茶を頻繁に飲むだけでなく、学習も深めています。総合学習やクラブの時間を使った体験学習も人気です。茶摘み手揉み体験お茶の淹れ方教室などが行われています。静岡県内で開かれる子ども向け闘茶大会では、大人がうなるほどハイレベルな接戦もしばしば。
 こうしてお茶どころの子どもたちは、日常茶飯事にお茶にふれて育ちます。進学や就職で他県に出て受けるカルチャーショックの一つがお茶の味で、この時初めて、ふるさとのお茶のおいしさに気付いた!という若者も多いのです。

○お茶はもらうもの!?
 お茶どころ静岡では、お茶農家やお茶屋さんの数がほかの地域よりかなり多め。そうすると、自分はお茶以外の仕事をしていても、親せき、親しい知人に茶業者がいて、毎年新茶をいただく・・・という贅沢な話も珍しくありません。
 茶業者でなくとも、新茶の時期、お中元や年の暮などのご挨拶に、また冠婚葬祭の引き物にもお茶を使う土地柄です。この地域でのお付き合いが多いと、「またお茶!」というぐらい手元に入ってくるかもしれません。
 このように、お茶をいただく機会が多い静岡ですが、平均的にお茶を飲む量も多いのが実態です。いただきもののお茶だけでは足りず、行きつけのお茶屋さんで自分好みのお茶を買うことは欠かせないようです。

子どもの頃からジュースよりお茶をよく飲んでいれば、健康で、味覚も鍛えられそう!