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お茶農家・お茶のまち歳時記

お茶農家、産地問屋が集まるお茶のまちの一年を見てみましょう。

●お茶農家の一年間

※静岡県の茶産地を例にしています

●春 ~天気予報を気にしながら新茶の準備~

 春先、チャの木に小さい芽が出始める頃から、お茶農家の落ち着かない日々が始まります。
 チャの木の様子をチェックしたり、畑に肥料を蒔いたり。特に新芽は寒さに弱く、春先の遅霜(おそじも)が大敵。翌朝の最低気温が下がりそうなときは、防霜ファンなどを使って霜の害から芽を守ります。
 また、お茶農家、お茶問屋(産地問屋)ともに製茶工場を隅々まで掃除し、機械や道具類の整備・点検もして、新茶を受け入れる準備をします。お茶問屋も各地の茶園の様子を見学し、お茶農家と情報交換をします。

●初夏 ~お茶農家・お茶のまちにはゴールデンウィークはない!?~

 一番茶の頃は、茶農家や茶問屋にとって、一年でいちばん賑やかで忙しい時期。
 茶農家も、茶問屋も、早朝の薄暗い時間から仕事が始まります。お茶農家では、朝早くから昼ぐらいにかけてチャの葉を集めます。猫の手も借りたいぐらい忙しいので、子どもも、親せきも、知り合いも総出で、お茶を摘んだり刈ったりします。4月下旬から5月中旬にかけて一番茶が採れる産地では、ゴールデンウィークは「お茶を手伝う毎日」という子どもも多くいます。
 摘んだ葉は、その日のうちに荒茶に加工します。荒茶工場の周りに、茶葉を蒸す蒸気にのって若々しい新芽の香りが立ち込めるも、この時期ならでは。
 茶産地の問屋街には、各地からの荒茶の見本が届きます。茶問屋は、早朝からそうした見本を見比べ、仕上げたいお茶に合った荒茶を吟味して仕入れます。茶問屋街にも、お茶を仕上げるさわやかなお茶の香りが漂います。

●夏 ~暑さに負けずにお茶を管理~

 一番茶から一月半ぐらいすると、新しい元気な新芽が目立つようになります。これが二番茶になります。
 二番茶の摘採は梅雨の時期とも重なり、芽の伸び具合がちょうど良いときに刈れるよう、天気が気になる毎日です。茶刈りや工場の作業は、一番茶に比べてひときわ暑さを感じますが、いいお茶を作るために、気も手も抜きません。それに、この時期は、チャの木に悪さをする虫や雑草も元気。手入れにも力が入ります。
 暑さがピークを越え、秋めいてきたら、茶畑の畝の間を耕し、根が水や栄養を吸収しやすいようにいたわってやります。
 夏から秋にかけては、品評会、研修会でお茶づくりの技術に磨きをかけたり、お茶まつりなどのイベントで消費者と交流したりすることも増えてきます。

●秋 ~来年の一番茶に向けた準備~

 チャの木は花の時期。茶畑にポツン、ポツンと、白い花がほころびます。でも、お茶農家にとってチャの木は観賞用ではなく良い葉っぱを採るためなので、あまり花を咲かせないように栽培します。
 秋の大切な手入れのひとつに整枝があります。秋の整枝は、来年の一番茶のために行うチャの木の模様替え。茶刈り機の音が響く中、チャの木は春よりも深めに刈り落とされていきます。
 茶問屋街には、秋の澄んだ空気にお茶を仕上げるときの香ばしい香りが漂います。

●冬 ~静かに春を待つ~

 冬の間、茶畑は静けさに包まれます。チャの木も冬支度。じっと寒さに耐えながら、木の中に栄養を蓄えます。
 お茶農家は、静かに茶畑を見守ります。畑に出る時間が少ないこの時期を使って、機械の整備をしたり、お茶農家同士で情報交換をしたりします。