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あなたを癒すテアニン・アミノ酸

●テアニン、アミノ酸とは? ~生命の源・アミノ酸、お茶の旨味を決めるテアニン~

 お茶に含まれるテアニンは、アミノ酸の一種です。アミノ酸は、植物や動物の細胞、DNAなどを形作り、生命に不可欠な成分です。原始地球に生命が誕生したのもアミノ酸に由来するので、「アミノ酸は地球上の生命のルーツ」と言われています。
 自然界には、500種類ほどのアミノ酸が発見されています。アミノ酸は、鎖のように組み合わさってたんぱく質を作ります。私たち人間の体も、20種類のアミノ酸で構成されたんぱく質でできています。
 アミノ酸は、うま味の素でもあります。日本料理は、昆布や魚からとる「だし」を使い、「旨味」を大切にしてきました。20世紀初めに日本の研究者が、昆布の旨味成分であるアミノ酸の一種「グルタミン酸」を発見しました。しかし、「基本的味覚は甘味、酸味、塩味、苦味の4つ」としてきた欧米では、21世紀に、舌に旨味を感じる細胞があることが発見されるまで、旨味は受け入れられませんでした。現在、料理の世界では「umami(旨味)」は新しいおいしさとして知られ、各国のシェフが旨味を活用するようになっています。
 テアニンは、チャと限られた植物だけに含まれる特殊なアミノ酸で、緑茶では遊離アミノ酸の約1/2を占めています。お茶にはテアニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルギニン、ギャバ等、複数のアミノ酸が確認されており、これらが作用して、お茶の旨味・甘味を醸し出します。玉露、抹茶、かぶせ茶、上級煎茶は、テアニンをはじめとするアミノ酸をより多く含み、旨味・甘味を強く感じます。低温で抽出されるので、上級なお茶は、ぜひ低温でじっくり淹れ、豊かな旨味を堪能してください。

茶葉に含まれるアミノ酸の量


緑茶の主なアミノ酸の特徴

種類 特徴 乾燥茶葉中の含有量
テアニン チャなどに特有のアミノ酸
チャのアミノ酸中で最も多く含まれる
やさしい旨味
404 ~ 3,122 mg%
アルギニン 非必須アミノ酸
栄養剤にも使われる成分
苦味(グルタミン酸と共存すると強い旨味)
29.8 ~ 1,233 mg%
グルタミン酸 昆布やチーズにも含まれる
強い旨味・酸味
208 ~ 376 mg%
アスパラギン酸 非必須アミノ酸
栄養剤にも使われる成分
旨味・酸味
116 ~ 681 mg%

(含有量データ:改訂3版 緑茶の事典)

お茶の旨味は、テアニンと他のアミノ酸の絶妙なバランスで決まるのね。

●テアニンの主な働き  ~気持ちを鎮め、リラックスした状態へ~

 テアニンには、脳や神経機能を調整して興奮を抑えたり、ストレスで上昇する脈拍数や血圧を抑制したりする生理作用が言われています。
 お茶に含まれるカフェインには、中枢神経を刺激して興奮させる作用がありますが、テアニンにはこれを抑える作用があります。お茶のカフェインの働きがマイルドと言われるのはこのためです。
 人を対象にした実験で、テアニンを摂取した後に、脳内にα派が増加したという結果が複数報告されています。α派は安静時に見られる脳波で、リラックスした状態を示します。睡眠の長さや質にも、テアニンがかかわると考えられています
 月経前症候群症状のある女性を対象にした調査では、テアニンを一定期間摂取した後には「体の痛みが減った」、「症状を感じない」とする人の割合が増えました。
 こうしたことから、興奮を鎮め、リラックスしてくつろいだり、良い睡眠をとったりするのにテアニンの作用が期待されています。

濃厚な旨味のお茶をじっくり淹れて、ゆったり、ホッとしましょう!

資料

「平成23年度 茶関係資料」, 社団法人日本茶業中央会
「改訂3版 緑茶の事典」, 柴田書店