おいしいお茶、楽しいティー・タイムには
良い茶器を
●急須で淹れるお茶は、なぜおいしい?
急須は、お茶を淹れるためにつくられた特別な道具です。急須に茶葉とお湯を入れて待つ間に、乾燥した茶葉が湯に浸って広がります。揉み込まれていた香りや味がにじみ出てきて、おいしいお茶が出来上がります。
急須の基本的な機能として、
- 茶葉やお湯を入れやすい
- 急須の中で茶葉がきちんとお湯に浸る
- ふたの収まりがよい
- 茶漉しが詰まりやすかったり、必要以上に茶葉が出てきたりしない
- 注ぎ口の切れがよい
- 持ちやすく、やけどをしない
- 取っ手と注ぎ口、ふたのバランスがよい
などがあります。
注ぎ口、茶漉し、取っ手、ふたなど、使い勝手も考えて、様々に工夫されています。持ちやすく、自然な角度で注げるように、横手の取っ手を中心にバランスを取っているものもあります。
●急須にもTPO
ご自宅のキッチンに、お鍋はいくつありますか?
煮物には厚手のお鍋、パスタを茹でる時にはたっぷりの容量の深型鍋、すき焼きは卓上鍋・・というように、料理に応じていくつかのお鍋を使い分けていると思います。
お茶も、茶葉の種類やお茶のシーンにあわせて急須を使い分けると好いですよ。最初は万能鍋のような普段使いの急須を一つ買い求め、その後は、趣味や目的に応じて増やしていってはいかがでしょうか。
○湯飲みの数と急須の大きさ
3人程度なら300㏄前後、5人程度には450㏄前後の大きさを目安にします。会議や会食に多人数のお茶を淹れる事務所やお店では、800~1000cc程度入る大急須があると便利です。
○お茶の種類と茶漉しの相性
急須の内側、注ぎ口付近についているのが茶漉しです。茶漉しは大きく2種類あり、一つは、急須本体と同じ素材で穴をあけてあるもの(陶器茶漉し)、もう一つは網を張ったもの(網茶漉し)です。
陶器茶漉しは、玉露、上級煎茶、普通煎茶(浅蒸し)、また大ぶりな急須は番茶やほうじ茶をたっぷり淹れるのに向いています。茶漉しの穴を抜けて、茶葉や茎が茶碗へ流れ出てくることがありますので、茶柱を期待する方には陶器茶漉しがおすすめです。
網茶漉しは比較的新しい種類の急須で、陶器茶漉しに比べて目が非常に細かく、深蒸しや粉茶などの細かい茶葉を淹れるのに適しています。もちろん、大きめの茶葉を淹れることもできます。
○昔ながらの万能急須 陶器茶漉し
普通煎茶、ほうじ茶、番茶など、いろいろなお茶に使われてきた急須です。茶漉しの穴が非常に細かいものから大きめのものまで種類があります。お使いになる茶葉の形や大きさ合わせてお選びください。茶漉しの穴が細かい急須は、深蒸し煎茶を淹れるのにも向いています。
○高級なお茶に 取っ手のない急須「宝瓶」
玉露や高級煎茶のように、濃厚な旨味を楽しむときには、小ぶりな急須で優雅に淹れてみましょう。湯冷ましで50℃ぐらいに冷ましたお湯を使うので、取っ手がなくても大丈夫です。
○番茶をたっぷりいただくときに ~土瓶
熱々のほうじ茶や番茶を淹れる時には、厚くて大きい急須が向いています。煮出すタイプのお茶には、直火OKの土瓶や耐熱ガラスのポットを使いましょう。
○普段使いの新定番 網の茶漉し急須
深蒸し煎茶が好まれるのに合わせ、網の茶漉しの急須も増えてきました。深蒸し煎茶のように細かい茶葉のお茶を淹れるとき、湯飲みに茶葉が出すぎたり、茶漉しに詰まったりしにくい特徴があります。
・帯網は急須の内側を、帯状に網を回してある急須です。
・オーバルは、注ぎ口を大きく囲むように、楕円形の網がつけられている急須です。
・底網は、急須の内側の底に沿うように網を張ってある急須です。
●急須のお手入れ
○新品の急須の使い始め
- 新品の急須は、注ぎ口にビニールのチューブがはめられていることがあります。これは、展示や運搬中に欠けないようにするための保護材なので、使用するときには外しましょう。
- 使う前にはすすぎ洗いをして、包装材や展示中のほこりなどを十分洗い流します。
○お茶を淹れた後
- 茶殻をあらかた出したら、残った茶殻を流水で流します。
茶漉しの裏側、注ぎ口の上などは茶殻が残りやすい場所です。お湯を張った洗い桶の中で急須をやさしくゆすり、茶殻をお湯に浮かせたり、注ぎ口から出したりします。 - 汚れや茶漉しの詰まりが気になるとき、急須を仕舞う(箱に入れる)前には、熱めのお湯に急須をしばらく浸し、急須用のブラシ(細いブラシ)でやさしくこすります。
力を入れすぎると、茶漉しが割れたり、網が外れたりすることがありますので気を付けましょう。 - その後、急須が熱いうちに布巾で水滴をふき、自然乾燥させます。
焼き物の急須は、何回もお茶を淹れ、使い込むうちに器が育つといいます。移り香にも弱いので、通常、洗剤は使いません。
急須には工夫がいっぱい!
お茶に合わせて使い分けたら、便利で素敵ね!